点滴


 点滴と言えば、翼状針という形状の針を使って行うのが一般的だが、輸液の量が多かったりして時間がかかる時や、患者さんが動き回る時は、留置針と呼ばれる(製造しているメーカーによってサーフローだったりセーフレットだったり名称が違う)特殊な針を使う。この留置針、普通の採血や翼状針を刺すより、刺すのが少し難しい。


 昨日も一人、高齢で皮膚が硬く血管も硬くしかも脆くてすぐ漏れる、という看護師泣かせの患者さんにこの留置針を入れなければいけなくなった。しかもこの患者さん、昔の全身火傷(精神科の患者さんでは時々焼身自殺をしようとする人が居る)の跡のケロイドがあちこちに残っていて、血管が非常に探しにくい。私がトライしたけれど、私は点滴が苦手なので、無論入らない。


 そこで、割合点滴が上手な副師長を呼んできて入れて貰ったが、彼も入れられない。次に点滴が得意な私と同じ名字の看護師を呼んできたが、彼も上手く血管に針を入れられない。最後に、右足首靱帯損傷中でナースルームでリーダー業務をしていた看護師を呼んできた。彼は点滴名人で、一度失敗したものの、上腕で私が何とか探し当てた血管に綺麗に留置針を入れてくれた。


 留置針1本入れるのに、看護師4人がかりで40分もかかってしまった。時々、こういう看護師泣かせの患者さんがいて、参る。