ショック


 私が2年くらい担当しているある男性患者さん。一時期盗癖が酷くて隔離室を出入りしていたのだが、最近落ち着いていた。なので、時間制限付きで単独で病棟から出られるように医師に指示を貰ったのだが、2週間程度経ったところで離院。また棟内だけの生活に戻ったのだが、大きな問題は無く経過していた。ところが、抗精神病薬リスパダールからエビリファイに切り替えた途端、女性患者さんのところに夜這いに行った。仕方なく、男女混合ユニットから男性ユニットに移動(私の勤務している病棟は亜急性期の男女混合ユニットと急性期の男性ユニットがある)。はっきり言ってもう長期療養型病院に転院して貰うくらいしか今後の展望が無いのだが、家族がそれを望んでいなく、それならば今の環境で出来るだけ束縛の無い生活をして貰おうと主治医といつも相談していた。


 今日は男性ユニット勤務だったので、その患者さんのところに話をしに行った。すると、開口一番、「担当看護師を買えて下さい」。それは師長に相談しないと……、と返して、理由を尋ねると、「それは師長に話します」。


 正直、キレた。はっきり言ってどうしようもなさ過ぎるので、看護師の間でも嫌われ者の患者さんだが、私は担当なので何とかしなければといつも2年間頑張ってきた。その挙げ句が受け持ちを変えろ、と来たか! お前なんぞ誰にでもくれてやるわ!! 好きにしろ!! ……というのが本音。まあ幾ら何でも患者さんには言わなかったけれど、ナースステーションで怒り狂っていた。


 ……まあ、性的逸脱は全く無かった患者さんなので、多分、抗精神病薬をスイッチングしたことで病態が変わってきているのだとは思うのだけれど……。それは頭でわかっていても、ここまであからさまに拒絶されると、看護する気も失せる。私の2年間の努力は何だったんだ。


 精神科の看護師を始めて7年目になるが、患者さんに受け持ちを拒否されたのは始めてだ。ちょっとショックだ。