高熱

 もう1人の受け持ち患者さんの、検温をしてみてびっくりした。38.5℃。本人はけろっとしているものの、顔が紅潮していて、「?」と思っていたのだが、発熱のせいだった。インフルエンザテストの反応はマイナス。


 精神科の患者さんは抗精神病薬を服用しているせいもあって、身体的な不調を自覚しないことが多い。この患者さんは医学部生だった十代の終わりに発症、その後入退院を繰り返していて最近はもう長期入院してしまっている人だけれど、思考障害が強くて、ドクターに「頭や喉が痛かったりしませんか?」と尋ねられて、「この間先生がリスパダールを増やしたんですけど、それから調子が悪いんですよ」ととんちんかんな答えをしてしまうような患者さん。十二指腸潰瘍と胃潰瘍があって、何度も大量の吐血や下血をしているのだけれど、そのことについても「盲腸だと思うですよね〜」と、元医学部生とは思えない発言をする。


 本当は慢性期療養型病棟の有る病院に転院して頂きたいところ(私の勤務する病院には慢性期療養型病棟は無い)なのだが、家族が今の病院での治療の継続を希望している。この患者さん、過飲水に盗癖もあって、もう何をどうしたらいいのか私も半分頭を抱えているのだが、取り敢えず今回の高熱が悪性のものではないことを祈る。